晩夏の『海上の森』を辿る

森林
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愛・地球博の候補地として当時話題となった海上の森
準絶滅危惧種に認定されているオオタカの巣が発見されたり、自然保護団体などの反対を受けたりで、最終的にメイン会場は旧愛知青少年公園へ変更された。
おかげで海上の森は原形を留めることになったわけだが、今回はその自然とのふれあいを求めてその地を訪れることにした。

 

5~6年前に一度だけ自転車で訪れたことがあったので、その記憶を辿って車で走っていくと、駐車場へとつながる屋戸橋がまさかの工事で閉鎖中!?
他の駐車場はないかとあれこれ走ってものの、それらしい場所はなく、再び屋戸橋に戻って工事看板を見てみると、道路の袖に脇道を発見。。

30分近くロスしてしまったが、9時ごろに見覚えのある駐車場に到着した。
石を敷き詰めて簡易に舗装された駐車場は優に30台は停められるだろうか。
そんなスペースも虚しく、5台ほどが無造作に停車している様子だった。

駐車場

車を降り、早速カメラを片手に川のせせらぎに沿って10分ほど上って行くと、突如として現れる里山。
海上の里だ。

小川

この里の風景を見ていると、まるで昔の時代にタイムスリップしたかのような感覚に浸らせてくれる。当時訪れたときに見た夕日の照らす稲穂が心の中に強烈な印象を残し、今回の再訪に繋がったといっても過言ではない。
市街からほんのわずかな距離だが、しばしの間、里山の景色と空気が心を穏やかにしてくれた。

 

照りつける暑さに早くもバテながら、里山の風景を目に焼き付けると一般開放されている休憩所へと向かった。
さすがにこの時間に人の姿は見られず、贅沢にも貸切状態。
棚には食器なんかも置いてあったりして、その気になれば調理も可能。
里人の優しい心遣いである。
ニワトリの声を聞きながら暑くなった体をクールダウンし、
里からさらに山中を目指すことにした。

休憩所休憩所 内部井戸

ここからはただひたすらゴツゴツとした砂利道を歩き、左右を眺めれば立派な松林を望むばかりだった。休憩所から10分ほど歩くと、海上の森で最も有名な景色が見られるもう1つの目的地、海上池(大正池)に到着した。

大正池

この池は昭和50年の砂防ダム築造によりできた池で、春から秋にかけて農業用水として利用されているそうだ。
案内板によれば、農閑期には水を抜くため、沢のようになるとのこと。
トンボやカエルの産卵スポットのようで、あちこちでその姿を見られる。

カエル

池先で出遭ったカエルとは別れを告げ、さらに山奥へと足を運んでいく。
車も通れるくらいに舗装された幅広の山道をさらに10分ほど歩くと、分岐点に到着したのだが、物見山ルートは封鎖され、篠田池ルートもこの先行き止まりと書かれていた・・・。
元来た道を引き返すのは面白みに欠けるため、通行は可能になっている篠田池ルートを歩いてみることにした。

だが、この選択が誤りだったのか。
そこから30分・・・1時間・・・と歩けど、それらしい池は見当たらず、険しく陥没した坂道をようやく上りきったかと思えば、今度は人の手によって切り開かれた道を下るばかり。
唯一、人目を避けるように凛と咲いたアザミの花が殺風景な景観の中にもひと際存在感を漂わせていた。

アザミ

もはや引き返すこともできず、篠田池の案内板を信じて茂みを掻き分けながら細く鬱蒼とした道を進んでいくと、新たな分岐点に到着。
篠田池は…いま歩いてきた方向!?
ということはどこかで通過してしまったらしい。

今回は調査不足だったと自分に言い聞かせ、目的を変えて四ツ沢というポイントを目指すことにした。

 

結局、2時間弱険しい山中を上り下りして四ツ沢に到着すると、そこは駐車場から里山を目指す際に通過したであろうだだっ広い空き地であった。

あっけなくスタート地点に戻ってしまい、写真を撮るという意味では若干の心残りはあったものの、次回への下見としては十分満喫できたろうか。

駐車場に戻れば20台ほどの車が整然と停車していて、意外な人気スポットを独り占めできたという達成感も次第に湧いてきた。
山道を歩いていると曲がり道があったり分岐点があったり、まるでひとつの人生を歩んでいるような心地になって頭を整理するいい機会になる。

四季毎に移ろう里山の風景を楽しみにしつつ、次回は紅葉の時期に物見山ルートを散策してみようと思う。

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