4日目 プラハ本駅は危険!?ミュンヘン行き寝台車を待つ

ヨーロッパ旅行記
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ヨーロッパ旅行4日目。
この日は怒涛のごとく駆け回っていた3日間とは異なり、しばし休息な一日となった。

早朝にプラハ本駅に行ってみると、ドイツミュンヘン行きの列車は1日にわずか3本のみ。しかし、そのうち2本は途中で乗り換えがあり、この間、所要時間はわずか4分とのこと。さすがに乗り間違い、乗り遅れともなるとその場で途方に暮れてしまうので、無難にミュンヘン直行の寝台車で向かうことにした。
とはいえ、寝台列車の出発時刻は21:46。
これから1日をどうやって過ごそうかという想定外な壁にぶち当たることになった。

プラハ本駅

ひとまず考えをまとめるために3人で座って会話を始めると、40代ぐらいの女が近づいてきて手荷物の中からおもむろにカメラを取り出している。
初めは写真を撮ってくれと願い出てくるのかと思っていたのだが、警戒心を強めてじっと見ていると、すぐにカメラを売ろうと近づいてきたことが分かった。
当然その場で謎のカメラなぞ買う理由もなく、何事もなかったかのように3人で会話を進めていると、今度は何やら誘う仕草を見せはじめた。
と、次の瞬間、その女は友人Wのひざに座ろうとしてきたため、このまま無視するわけにもいかず、すかさず2人でブロックに入った。

ちょうどその時、駅構内を巡回していた3人の警官が近くを横切ろうとしていたのだが、我々の後ろからおじいさんが大声を出して何かを叫んだ。
一瞬、何事か!?と思ったのだが、どうやらその女の行為を警官に通報してくれたらしい。
なんて親切な人なんだ!!
覚えたてのチェコ語で心を込めてデェクイ(ありがとう)と伝えると、おじいさんは満足げな様子で我々の側を立ち去った。

すぐさまその場で女への尋問は行われ、時々こちらにも質問は持ちかけられたがありのままを伝えて誤解されることもなく一件落着となった。

 

出鼻を挫かれた一日のスタートだったが、その後にようやく朝食へ。
プラハ本駅に到着した時に美味しそうなホットドックを売っている店があったので、そこで済ませようと思っていたのだが、残念ながら既に店は閉まっていた…。
結局、駅の隅にある店でハンバーガーを食して終了。
店内の目の前のテーブルでは、明らかにコソコソと白い粉を密売している様子だったが、これ以上面倒に巻き込まれるのは勘弁なので知らん顔しておきました。

食後はフットワークを軽くするため、重い荷物をコインロッカーへ預けることに。なんと60Kc(200円)足らずで1日預かってくれるようだ。
前払いというのは分かったが、何だか仕組みがよくわからなかったため、先ほど通りがかった警官にすかさず尋ねてみたところ、先に試してみた方法は間違いではなく、しばらくすると鍵が閉まるので問題ないとのこと。
いつ閉まるか分からないロックのためにしばらく待機しろということか…。
ロッカーの前で数分待機し、無事にロックが掛かったことを確認してその場を後にした。

心身とも身軽になったところで、ようやく気を取り直してこの日のプランを再考するも予想以上に旅の疲れが溜まっていたこともあり、結局は駅で1日ゆったりと過ごすことにした。
昼食ももちろん駅構内のファーストフード店。
ベーコンの塊がえらく安かったため、友人Aと2人で購入して分けることに。
酒を飲みたくなるほど脂っぽかったが、300gで十分なボリュームだった。

 

それから駅一角の地下へくだったところにあるネットカフェに向かった3人であったが、その途中の通路でこれまた腕に注射してる兄ちゃんがぐったりと横たわっていた。。
なるほど、ようやくこの駅で警官が巡回し続けている理由がわかった。
プラハ本駅はデンジャラスゾーン!!!
さすがに例の警官たちとは朝から何度も顔を合わせていたため、既に知人であるかのように親近感がわいていた。

ネットカフェに籠ること数時間。夕刻ともなるとさすがに籠っているのも疲れたのでスーパーへ買い出しに向かった。ここで今更ながらのカルチャーショックを受ける。なんと一番安いビールで1缶30円…。
だが、さすがに手を出すのは怖かったので無難にピルスナーを購入。
それでも100円ちょっと…今思えばいかに関税が高いのかと現実的な事を考えてしまう。あとはつまみとなるサラミとチップスを買って夕食の買い出しは完了。
この日の食事は完全にバランス崩壊。外国人仕様となっていた。

 

駅に戻って円形のベンチに座っていると、3人組が自分の後方に座り込んだ。
この駅の荒廃ぶりを1日中見ている手前、これだけ席が空いているのにわざわざ同じベンチに座るなんて怪しいなぁーと警戒していると斜め前にいたおばさんが何やら合図を送っている様子だった。
こりゃスリだなと察してすかさずその場を立ち去ったわけだが、あちゃー失敗!と言わんばかりのおばさんの表情がとても印象的だった。
それにしても気を緩めてる隙がありゃしない。

この頃には陽も傾いていて構内を行き交う人々もまばらになり、犯罪者の格好の餌食になってしまうというのは計らずしも明白だったため、一番安全なネットカフェに再び戻り、睡眠をとることにした。
余談だが、ここのネットカフェは3人で入店しても1端末料金で済むため、ほぼ無料に等しかった。

 

仮眠から覚めると時間も頃合いとなり、ネットカフェを出てロッカーで荷物を回収し、一同はようやくデンジャラスゾーンを後にすることができた。

プラハ本駅 プラットホーム

寝台列車に乗り込むと、室内にはかろうじて寝返りがうてるかどうかの細い2段のベッドが向かい合いに2組置かれていた。
考えてみれば、寝台列車に乗ったのはこの時が最初で最後だ。

プラハからミュンヘンまでは途中で国境を越えて7時間ほどかかっただろうか。
温くなったビールとサラミをつまみながら会話をしていると、再び睡魔に襲われていつしか3人とも眠りの中にいた。

 

さすがにプラハ本駅で神経を使っていたためか、寝心地は良くないながらも
皆深い眠りについていたのだが、夜中になって再び事件勃発。
深夜の何時ごろか定かではないが、部屋をノックする硬い音が室内に響き渡り、
休息も束の間、ハッと目を覚ますことに。
懐中電灯の光が室内を駆け巡っていたため、開かない目を必死に開きながら何事かとロックのかかった扉を開けてみると、どうやら2人組の男が検問のために回ってきたらしい。

そうか、寝台列車で国境を越える時は夜中でも巡回してくるのか…。
パスポートを出すように言われ、荷物の中から探り当てて提示。
スタンプを押してもらうと友人とは会話することもなく、再び眠りについた。
次に目が覚めれば、そこはドイツミュンヘンだ!!

ミュンヘン駅

 と、朝の6時半ごろに無事にドイツに到着してから知ったのだが、
「いやぁ、夜中の検問はビックリしたなぁ」なんて友人Aと話をしていると、何の話?と言わんばかりの友人Wの表情。
ま、まさか・・・あれだけ騒いでいたのに目が覚めなかったのかっ!?
というか、密入国だし・・・笑
聞くところによれば、彼は耳栓をしていて全く騒ぎに気付かなかったのだとか。
んー目が覚めない方もどうかと思うが、検問員が見過ごすってのはどうなんだ?(゜д゜;)

結局、彼はミュンヘン駅でも何も問いただされず、余裕で密入国成功。
この旅で最も栄誉ある勲章を手に入れたのであった。

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